Tom a la ferme
グザビエドラン
2013加仏

評価 3.5

ドラン、あなたは美しく若すぎる



以下がっつりネタバレ





誰か、あなたのかわりを探さねばならない。

恋人を失い傷心した若く美しい男が亡き恋人の葬式のため、さびれた農場に訪れる。

不穏な空気のなか現れた恋人の兄。
顔のない男。
彼は愛しいひとの声をし、愛しいひとと同じようにダンスをする。
強引でしかし優しい手をする男。
顔のない狂気に主人公は惹かれ、首を絞められ、取り込まれ求められ、昨日までの他人の日々に埋め込まれる感覚に溺れていく。




ドランはロマンチストだ。
美しい兄弟とか。
サイコ野郎にひかれたりとか。
亡き恋人とその兄がリンクして、死にたいくらい辛い心境の主人公は錯乱。兄がサイコ野郎であるにもかかわらず、ドメスティックバイオレンスの構造のように、「自分がここにいなければならない、求められているから」と洗脳されてしまう。同僚の登場のおかげで、バーのマスターのおかげで目が覚めて、息を飲む脱走劇。

さびれた集落の恐ろしさ、ではなく、ちょっと特異な母親が元凶の家庭。息子が家から出ていくのも無理ない。
サイコ男が主人公を求めたのはけして、主人公がサイコ野郎を求めた理由とはちがう。
サイコ野郎が女に取られた時の主人公の顔。そう。ドランなのだ。ドランはまだこの域から出られない。


ロマンスとミステリー。
解りやすすぎて、安っぽく、まだまだ深さが足りず、甘い。
ドラン、あなたはまだ若い。
これからですね